<新年のご挨拶>



                                  日本輸入木工機械協会

                                  会長 安居 実


皆様、新年明けましておめでとうございます。

 世界の政治は昨年英国のEU離脱総選挙結果・米国の自国中心主義大統領選出、新年は
フランス大統領選挙、ドイツ・オランダ総選挙などが続き、国内経済格差、難民、テロ等を主因にグローバリゼーションから保護主義ナショナリズムの台頭傾向で世界が分裂の時代に入り込む政治リスク含みの展開が予想されます。

 世界経済は、主役としての米国経済だけが堅調でその推移が注目され、欧州は問題含み、中国も過剰生産設備・中間層増終焉でペースダウン、資源安で新興国経済も陰りが予想され、世界的にデフレの進行と経済停滞リスクを孕んだ予断をゆるさない情勢です。
IMF指標によれば、世界の実質GDPは昨年時点での予想より1%低い2016年2.4%、2017年2.8%, その後3%弱で推移する見込みでございます。
日本の実質GDPはIMF指標では2016年0.5%、 2017年▲ 0.1%、2018年 0.4%、 2019年 0.7% 、2020年 0.7%と低成長が続く見込みでございます。

  さて、海外の木工産業の動静を皆様のご参考にお伝えすることは弊協会の重要な社会的使命の一つで御座います。単品・大量生産の需要の波を受けて、柔軟な生産工程が益々求められ、欧州(一部中国でも)では「ソフトが生産ラインを動かす」形で対応しております。ERP(SAPなどで代表される企業資源計画・管理基幹ソフト)で生産計画を作成し、パソコンで作成した個々の製品の3DデザインデータをCAD作業無しに、ERP生産計画からMES(生産実行ソフト)に流し込み、MESが生産ラインの機械のコントロールをBar Code/QR Code連携を行いながら生産を調整・遂行しております。設備が鋸・縁貼機・CNCだけの中小規模の木工業者でも、パソコンの3DデザインデータをMES経由ワークセル自動生産を行っている形態が浸透しております。

  この生産ラインのソフト化段階は欧州ではほぼ終了し、生残りをかけて
第四次産業革命(IoT/Industry 4.0等)の準備が大急ぎで行われております。ERPを顧客・資材メーカー・製品搬送業者など外部と繋ぎ、ERPが企業のサプライチェーンを最適化して生産性を2倍にしようとするもので、その可否は企業の命運を決めることになります。

  他方欧州の主要木工機械メーカーでは、上記単品・大量生産/生産ラインのソフト化/第四次産業革命の時代の流れに合わせ、鋸にソフトで制御されたロボットアームをつけ特定部材の2度切りを自動で行えるモデル、寸法の違う部材をランダムに投入できる自動縁貼機モデル、3Dデザインで自動的に作業できるCNCモデル、原板投入/部材摘取りをソフトで自動的に行う自動倉庫モデルなどの機械の開発を済ませ、上記の3DデザインソフトやMESも単独開発しております。

  夢の世界の様ですが、カスタムメード家具のデザイン(BtoB/BtoC)をインターネット上の3Dデザインソフトで作成し注文すると、ソフト化された柔軟な生産ラインで即製造され、汎用品とさほど変わらない価格で数日で搬入される時代が欧州では既に来ており、また日本でも始まりつつあります。

  日本の木工生産は世界に名だたるカンバン方式で生産工程の合理化を極限まで進めてこられていますが、国内木工家具生産高は過去10年で半減、若年労働力の減少などを考慮すると、生産ラインのソフト化も視野に入れた対策も今後の有力なオプションではないでしょうか。

日本輸入木工機械協会は製材機械、刃物、金具、縁材、糊、ボード、ソフトウエア、環境等分野扱いの会員の許、世界最先端技術を紹介し木工業界の生産性向上・新製品開発に向けて邁進して参ります。

新年にあたり皆様のご多幸を祈念し、皆様と一緒に私ども日本輸入木工機械協会は邁進して参る所存でございます。



                                       敬具