<新年のご挨拶>
               
                                                                日本輸入木工機械協会
                                                                          会長 安居 実

皆様、新年明けましておめでとうございます。

 世界経済は、これまで米国・欧州・日本など含め世界的金融緩和基調できましたが、
相互の舵取りを間違えると景気後退局面に入りこむ危険性をはらみながら推移するものと思われます。
世界経済のエンジンの役割を果たしてきた、中国はじめ新興国の景気はペースダウンし、もう一方のエンジンの米国も利上げが出来ない今ひとつの景気状況で、欧州も低成長の儘です。IMF指標によれば、世界の実質GDPは2015年3.1%、2016年3.6%、2017年3.8%, その後4%弱で推移する見込みでございます。

 日本経済は、アベノミクス第2ステージの発表がございましたが、第1ステージからの実質経済への効果が今一つ出ておらず政策的手詰まり感がございます。日本の実質GDPはIMF指標では昨年予想より下回り2015年0.6%、2016年1.0%、 2017年 0.4%、2018年 0.7%、 2019年 0.9% 、2020年 0.7%と低成長が続く見込みでございます。

さて、今後の木工業界の先行きは、認めたくないが迫りくる現実として、予断を許さないものがございます。
  若年層人口推移(15歳以下)は1950年には2,950万人(総人口比率35%)が、今年は1,600万人(同13%)。出生率は1950年が3.7人、今年は1.4人。今後の日本経済を支えていく若い人が急減してきております。また内閣府の労働人口予測では、なりゆきで今後10年間に8%減少、半世紀後には半減。労働力不足で製造業は機械化・IT化で生産性向上が不可欠になってくるものと思われます。

  昨年発表された野村総研の住宅市場予測では、過去15年間で半減した市場が、今後10年間で更に29%減。労働力人口減に加え、平均築年数増加が主因。木製家具市場も過去10年間で国内生産半減し、今後10年間で国内生産36%減の見込み。労働力人口減/平均築年数増加に加え、輸入が毎年1%増加し、現在輸入シェア22%が10年後には32%。
また、木工製造業者は8,300社(2003年)から4,400社(2013年)とこの10年で半減し、これは欧州でも同じ傾向ですが、中小業者が弱体化して大手業者の生残り戦争が既に始まっております。


  これに追い打ちをかけて、IoT/Industry 4.0により生産性を倍増した海外からのより安価な木工製品が日本の木工製造業に新たな挑戦を挑んでくる大きな脅威に直面しつつあります。単品生産が日本を含めた世界の潮流になり、人手による対応の限界を迎え、IT/機械化にて増加しつつある生産コストを抜本的に下げようとする手法で、特に欧州・中国では既にこれに近い形態の単品自動生産が一般的に行われております。政府も対応方針/組織を決めて導入推進化を図り出しておりますが、日本では一部大手を除き、製造部材の各サイズをオペレーターが機械に入力し、次の機械への部材搬送も人手にて、また原板カット/管理も人が行っている工場が多くございます。この世界からの新たな挑戦に備える為には、最低限、機械から機械への情報の流れはバーコード等ソフトにて、機械から機械への部材搬送はコロコンにて、原板管理はソフトにて急いで対応を進め抜本的生産性向上を図る必要がございます。

  日本輸入木工機械協会は昨年創立50周年を迎え、これまでもこれからも前記に加えエコ対応による日本産材の消費増、CLT等新技術普及、木質バイオマス増進等も含め、世界最先端技術を紹介し木工業界の生産性向上・新製品開発に向けて邁進して参ります。
この数年従来の木工機械中心の会員に加え、製材機械、刃物、金具、縁材、糊、ボード、ソフトウエア、環境等分野扱いの新たな会員を迎え、木製品製造に必要な総ての設備/材料のワンストップ垂直統合型輸入業者団体としてその社会的使命を全力で果たしていく所存でございます。

  新年にあたり皆様のご多幸を祈念し、皆様と一緒に私ども日本輸入木工機械協会は邁進して参る所存でございます。


                                                                                      敬具